2011年11月21日月曜日

Librairie Astarte アスタルテ書房


京都三条、御幸通り×姉小路通りのマンションの一室に、
ひっそりと幻想の文学サロンが息をひそめています。

目印は、マンションの入り口のポストについた小さな表札
「アスタルテ書房」の文字だけ。

さっそく金子國義氏が描かれたアスタルテのOPENマークが出迎えてくれます。

ノックは不要。こっそり扉をあけると・・・







そこはめくるめく頽廃と耽美、悪徳とエロス、幻想と闇の文学の世界です。






ここにある蔵書は、本当に驚くべき宝ばかりなの。
端から端まで背表紙だけ読んでいても一日退屈しないかもしれません。

ここは稀代の画家、金子國義の装丁本やリトグラフ、
「ロリータ」の初版本など、
信じられない豪華本が並びます。

 


本だけでなく、宇野亜喜良の原画
頭蓋骨と貝殻(同名の澁澤龍彦の著書の横に並んでる)
戦前のヨーロッパの彩色肖像写真など、
店主佐々木さんを構成するありとあらゆる要素が、
この空間に凝縮され、

丁寧に丁寧に値札が付けられています。




小川洋子の小説、「薬指の標本」の世界の中のようです。



これは特に充実している、私も崇敬してやまない澁澤龍彦のほぼ全ての著書。

佐々木さんは、生前の澁澤や生田耕作、土方巽などと深い親交があり、
この文学サロンアスタルテにも、
かつてはかの文芸人たちが集い語りあっていたようです。


生前の澁澤が訪れたのは移転前のアスタルテで、
佐々木さんが病床で「澁澤先生、新しくアスタルテ書房を三条に開店しましたよ」
と伝えたところ

“それは一度、是非お邪魔したいものだ”

と筆談で返されたそうです。

しかしそのまま、澁澤は亡くなり
2度と京都の地を踏むことはありませんでした。


澁澤の奔放な筆跡。


ここには四谷シモン、金子國義、
時代とともにより先鋭に美しさを増していく
澁澤が愛した頽廃と幻想の世界を生きる芸術家が未だ集います。



ここが店主佐々木さんがいつも腰かけるデスク。
宝石のような蔵書に囲まれ、貝殻のように密かに濃密な時間を過ごしています。





彼から譲っていただいた、奇跡の豪華本、澁澤龍彦責任監修の雑誌

昭和43年発刊、創刊号

「血と薔薇」


一生手に入らないと思っていたものですが、
ここでついに出会ってしまいました。
ずっとずっと長い間、憧れの本でした。

私の手元に来たということはもちろん、
アスタルテという、澁澤たちの記憶まで詰まった場所で、
彼らの記憶を受け継ぐ佐々木さんから、貰い受けることができたということは、
私にとって本当に重要だったと思います。

一生の中で、一番大切な宝物かもしれません。






行き方は絶対に絶対に、(ロマンスよりも絶対にマジで)わからないので、
お出かけになる前に店主佐々木さんへお電話を一本おいれ下さい。
快く迎えて下さいますよ:)

また私に聞いてくださっても大丈夫です。


アスタルテ書房
京都市中京区三条御幸町上ル東側ジュエリーハイツ202
Phone 075-221-3330
12:00~19:00
毎週木曜日定休

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